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Chef
菊池 恒毅
食材の生産地とのつながりが
新しい料理へのインスピレーションに
日本橋三越新館内に位置する「代官山ASO チェレステ 日本橋店」のシグネチャーメニューと言っても良い“オマール海老のパスタ”。アスティーチェ(オマール海老)とも呼ばれ、イタリア料理の白眉とも言えるパスタ料理だ。このチェレステ日本橋店のシェフ菊池が数年来にわたり力を入れてきたメニュー。特に最近になって進化を遂げているという。
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「従来のアメリケーヌソースをより凝縮した感じに仕上げました。オマール海老だけでなく甘エビも加えるなどさまざまな工夫を凝らし、香味野菜のセレクトや隠し味に使ったリカールなど、強さと複雑さを併せ持った自信作のソースが基本となります」。
この味の決め手もシェフだけでなく、厨房のスタッフ、サービススタッフなど、この店で働くすべてのメンバーの意見が反映されているという。
「レストランというのは、シェフ一人で作り上げるわけではなく、スタッフ全員でおいしさを届けるところだと考えています」。
シェフ菊池のその言葉は土台となるパスタにも息づいているようだ。
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「自家製のタリオリーニにはトマトをしっかりと練り込みました。タリオリーニを最高の状態に仕上げるには、その日の気温や湿度によって水分の微妙な調整が肝となります。国産小麦を使ったもちもちとした食感はソースとの絡みもよく、トマトのかすかな酸味がソースを見事に引き立てます」。
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添えられた丸々一匹!のオマール海老、契約農家から届く減農薬野菜の味わい。すべてがマッチした時に、他では味わえない、ここチェレステ日本橋店に来なければ出会うことができない“オマール海老のパスタ”が口いっぱいに広がっていく。
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シェフ菊池のこだわりは食材生産地とのつながり
「昨年より徳之島に伺うきっかけがあり、現地で様々な食材に出会いました。シェフをやっている自分すら知らない食材や、その場でしか味わえない食材を現地の方々に教えていただいたり。とにかく僕自身は生産地に自分で出向いて、そこから新しい料理のヒントを得ますし、生産者の方々にも僕の料理を食べてもらいたいとも考えています」。
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Epilogue
そんなシェフ菊池の想いが形となり、ここ代官山ASOチェレステ 日本橋店では8月に『徳之島フェア』が開催される予定。豊かな海の幸を感じるメニューなど、徳之島の自然や食材、人々全てに通じる特別なコースが用意されています。 名物とも言える“オマール海老のパスタ”を楽しむもよし、徳之島の自然の味を堪能するもよし。今も進化を続けるシェフ菊池の味を楽しみにお出かけください。
TEXT: Y.Nag
PHOTO: Y.Kawata
Home made tagliolini kneaded tomatoes , homard lobster and americane sauce
オマール海老と自家製アメリケーヌソース
トマトを練り込んだ手打ちタリオリーニ
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About the Chef
菊池 恒毅
Koki Kikuchi
1977年12月10日生まれ。東京都出身。1997年、調理師専門学校卒業後ホテルに入社し3年ほど経験を積んだのち、ヨーロッパを中心に世界各国を旅しながら世界の文化に触れる。2006年㈱ひらまつに入社し、各店のスーシェフを経て、2012年「代官山ASOチェレステ 日本橋店」料理長に就任。現在に至る。幼い頃からモノ作りが好きで、小学生の頃から料理人になることを決意していたという。プレゼントの箱を開けたときのワクワク感を感じていただけるような『おいしい+楽しい』料理を心がけながら、日々料理と向き合い続けている。