ポール・ボキューズ氏が築いたフランス料理の伝統は、常に時代に合わせ変化を続けてきました。氏の料理哲学を土台とし、ひらまつと共に世界で活躍する現代フランス料理を牽引する4人のシェフから届いた、未来へ向けたメッセージとは。
アルザス地方のイローゼン村で、100年以上営みを続けている「オーベジュ・ド・リル」。この地方はもとより、フランスを代表するレストランの一つである。代々、エーベルラン家のシェフ達が継いできたこの名店を今、取り仕切るのはマルク・エーベルラン氏。アルザスの食文化と家族の伝統をベースに、優雅かつ温もりにあふれた料理を作りだす。そのスピリットを唯一フランス国外で受け継いでいるのが、ひらまつとのパートナーシップ。コロナ禍を経て3年ぶりに来日したエーベルラン氏に、料理への情熱と思想、若手へのメッセージを語ってもらった。
南仏モンペリエにある「ジャルダン・デ・サンス」は、双子のジャック&ローラン・プルセル兄弟が34年前にオープンしたレストラン。シンプルでヘルシーな地中海料理を、現代的な感覚で仕立てた料理で評価を集めている。そんなプルセル兄弟が日本にオープンした「サンス・エ・サヴール」は、今年20周年の節目。今回のインタビューではプルセル兄弟の料理思想を聞くとともに、日本への思い、そして若手へのメッセージも語ってもらった。
今フランスで最も注目を集めているシェフの一人、フィリップ・ミル氏。パリの名だたる名店で経験を重ね、2011年にはM.O.F.(国家最優秀職人章)を獲得するなど輝かしい経歴を持つ。シャンパーニュ地方で100年の歴史を紡いできたシャトー「ドメーヌ・レ・クレイエール」で14年間料理長を務め、2024年4月には「レ・クレイエール」から独立し、自身がオーナーを務めるレストラン「ARBANE」をオープン。東京にも自らの名を冠するレストラン「フィリップ・ミル 東京」を持つミル氏に、3年ぶりの来日を機にインタビューした。
リヨンの名店「ポール・ボキューズ」がフランス料理の殿堂であることに異論を挟む人はいないだろう。故ポール・ボキューズ氏はこの店の、そしてフランス料理界の守り神のような大きな存在だった。そんな氏のもとで20年近く働き、2017年より総料理長を務めるのがジル・レナルト氏。2018年にボキューズ氏が他界したのち、この由緒ある店、料理、そしてボキューズ氏の哲学を引き継いでいるレナルト氏に、来日を機にインタビューした。