料理を志すすべての若者が目指す栄誉は
想像を遥かに超えた厳しい審査が待ち受けている
ボキューズ・ドールはその名の通り、現代フランス料理の巨匠ポール・ボキューズ氏の発案によってスタートした料理コンクールだ。
その参加者は全世界に及び、まさにフランス料理のオリンピックと称される最高峰のコンクールでその勝者の名誉は計り知れないと言われる。
しかも開催は2年に1度。世界大会の前には国内予選、その勝者はさらにアジアなど地区大会を経て、いよいよフランス・リヨン(ポール・ボキューズ氏の活躍した街)での本選に挑むこととなる。
その間の審査の厳しさ、参加するシェフたちのクオリティの高さ、課題に沿った料理の独創性など、全てにおいて一切の妥協の入り込む余地がないとされる。
日本代表選考会『ひらまつ杯2022』の勝者、
アルジェントの若きシェフ石井友之は全力疾走する
ボキューズ・ドールの特徴の一つと言って良いのは、このコンクール自体が国単位のチーム戦でもあるということ。要は国内代表選考会の勝者である石井をリーダーとした日本チームとしての力が試されるという。その中には料理だけでなくプレゼンテーション力、クリエイティビティなどフランス料理の今後の発展に欠かせないあらゆる要素が含まれているのだ。
ひらまつ40周年を迎えて推進する「Challenge40」の一つとして、2023年に開催される本選までシェフ石井を中心にドキュメントしたいと思う。
2022年1月に開催された国内代表選考会の課題食材は、青森県地鶏「青森シャモロックザ・プレミアム#6」と、鳥取県産原木しいたけ「とっとり115」。この2つを組み合わせた温製肉料理を提案した。
そして、本選へ向けて最後の難関
「アジア・パシフィック予選」が始まった。
フランス本国の本選に出場できるのは24カ国のみ。世界を4地区(アジア・パシフィック/アメリカ/ヨーロッパ/アフリカ)に分けた予選を勝ち抜かなければならない。特に今年は、実際の料理対決ではなくレシピ上での戦いとなる。目の前で料理ができない難しさに加え、選手をサポートするチームや組織を含めて総合的に審査される。つまりプレゼンテーションのクオリティも大きく問われることになるのだ。
テーマとなった「豆腐」を石井がどう料理しどう見せようとしているのか。
今まさに予選の審査の真っ最中であり、次回、その結果も含め予選でのプレゼンテーションの全てをお伝えしようと思う。
本選へ向けて石井自身の決意を聞いた。
「毎日を大切に料理をしてきました。自分は一人では弱い存在です。沢山の方の助けがあるからこそ料理を作りコンクールにエントリーすることができました。この挑戦は一人のものでは無く今まで関わったすべての方に感謝して戦いたいと思います」。
TEXT : Y.Nag
About the Chef
石井友之
Tomoyuki Ishii
ひらまつグループのフランス料理店の一つ<アルジェント>のスーシェフを務める。叔父に憧れ料理の世界に飛び込み13年間、株式会社ひらまつで研鑽を積む。素晴らしい先輩や頼もしい後輩の刺激を受け32歳でボキューズドールに初挑戦。
ボキューズ・ドールJAPAN事務局
http://www.bocusedorjapon.jp
SIRH/+ BOCUSE O’DOR(フランス語・英語)
https://www.bocusedor.com/fr
SIRH/+ BOCUSE O’DOR Youtubeチャンネル
https://www.youtube.com/user/BocuseOr/videos